
さて今回の「西へ」は、フランスです。
本職のくせに長々と出さなかったのはこの数年、アジア料理ブームが私の中で大旋風を巻き起こしていたからです。
おフランスといえばイヤミのシェーしか浮かばない庶民の皆様に、
フランス料理の歴史とマナーをかいつまみながら美味しそうな写真を流してゆきたいと思います。
今回は、青山表参道「ブノワ」です。ディナーでもふたりで3〜4万と、リーズナブルなお店です。

イタリアンと似たようなものでしょ?と混合されたり、ゴテゴテのコースだよね?などと言われがちな、
フレンチですが、今では昔のような重たいソースを使ったような古きフランス料理は
ほとんど見かけなくなりました。どこにでもありそうなホテルの結婚式などで出てくる
フレンチのコース、あれがいわゆる旧式のフレンチのコースでしょうか。
もともと、フランス料理というのは、イタリアからフランスへお抱えシェフと共に嫁いできたお姫様が、
フランス宮廷内に広めたのが発祥と言われています、などという堅苦しい話をしても
一般人の皆様にはどうでもいいと思いますのでかいつまんで言いますと、
イタリア→フランス宮廷に広まる→革命後に宮廷を追い出されたシェフたちがフランス国内やロシアに
広めて一般的になる→そのころは日本と同じく、すべての皿を最初に出してていたのが、
熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに食べられるようにと、寒い国、ロシアでの作法、
コース料理がフランスに逆輸入され今の「コース」が確立→ゴテゴテのクリームソースが特徴だった
旧式フランス料理のソースが、70年代、日本の懐石料理などを参考とし、軽めの新しいフランス料理、
ヌーベルキュイジーヌを確立、今のフレンチができあがる。という感じです。わかりやすいね。
上の写真はアミューズと言って、レストランだと食前酒のために出てくるちいさなお料理。
食前酒はおそらくシャンパンや白ワインだろうと想定されて作られてます。
結婚式なんかだと、アミューズは省かれることが多いです。出るところもあるけど。
これはカレーパウダーかなにかの風味を効かせたパテだったと思いますが忘れました。

オードブル。
前菜って意味です。これはなんだったかな。鴨となにかのテリーヌだったと思います。
フレンチでよく見かけるこの食パンのような形のお料理は、テリーヌっていいまして、
テリーヌ型という型に切り口が美しく見えるように材料を詰めて、切って出すお料理です。
よくわかんない人は、金太郎アメでも想像しててください。
テリーヌって言葉自体は、型そのもののことを指すんですが、料理自体のことも言うようになりました。
型が食パン型からドーム型までいろいろあります。

スープ。
そら豆と何かのスープにサーモンマリネのなんたらかんたらだった気がします。
上で、イタリアからフランスに料理が伝わった、とありますが、
ではイタリアンとフレンチは似ているかといわれたらまるで似ていません。
イタリアンというのはそもそも、発祥は家庭料理です。いわゆるマンマの料理ってやつです。
なので、基本はまずパスタ。そしてトマト、チーズにバジルだったり何だったりのハーブ系。
そして馬鹿のひとつ覚えのオリーブオイル。ニンニク。
そういわれると確かに、材料は同じものを多く使っていると思いませんか。
これはイタリアンに限った話ではなく、インドでも、家庭料理にはいつも似たようなスパイス。
だからどれもカレーのような風味になる。(気候も、暑い国だからスパイスを使うというのも理由だが)
日本でも実はそう。和食の味付けは基本、醤油、砂糖、塩、おだし、みりん、酒。
家庭で毎日作るものにそんなにお金はかけられないため、どこの国でも基本、同じ味付けに材料なんですね。
なので、宮廷料理から広まったフレンチと、家庭料理から広まったイタリアン、
フレンチの発祥はイタリアンにも関わらず、そもそものお金の掛け方が違うのでこんなにも差があるんです。

お魚料理。フランス語でポワソンです。
温野菜に埋まってなんの魚だったかわからないし忘れてるので思い出せないですがなにかの魚です。

なので、
連れのかりかりお魚グリエも出しておく。
よく、どのカトラリー(えーと、フォークとかナイフのこと)を使っていいのかわからない、
外側から使うの?とかなんとかありますけど、1枚目の画像を見ていただいてわかるように、
今は、お料理ごとにカトラリーを出してくれるレストランがほとんどです。
でも、ウェディングなんかだと、最初からセットされていることが今でも多いです。
外側から使う、で正解です。ちなみにお皿の上に置かれているのはデザート用です。
でも別に、間違って使っちゃったからってそんな無作法ってわけでもないんですね。
食べやすいもので食べていい。そんなことで嫌な顔をするお店の方がいたなら、それはプロ意識がないだけです。
お魚料理のカトラリーは、バターナイフのようなナイフであることがたまにありますが、
使いにくいこともありますし、「だってこっちのほうが食べやすかったから」でいいと思ってます。

お肉料理。フランス語でヴィアンド。
これはフォアグラですかね。フォアグラは肉料理に含まれます。
んで、意外や(意外でもないか)、甘いソースと合うので、一緒に出されることが多いです。
甘いというか、甘くて酸味がある、ですかね。右はリンゴ。下がカブ。
どれも甘みのあるもガロニ(つけあわせ野菜)と合わせてあります。
結婚式などのコースだと、お魚とお肉の間にシャーベットが出されることがありますが、
これはソルベと言って、お口直しです。魚の臭みを消すためのもの。寿司でいうところのガリです。
また、結婚式のコースだとなぜかお肉料理のときにミニサラダが付いてくることがあります。
安っぽいホテルだとなぜか必ずミニサラダが付いてきます。ダサいです。でも付いてきます。
ライスが出てくるところもあります。こういっちゃ何なんですが、日本独特のフレンチって
いまだに安っぽいホテルなんかで使われてるけど非常にダッサいです。もう一度言いますけどダサいです。

デザート。フランス語でデセル。
ドラマ「ハングリー」でもよく使われてる言葉です。
あのドラマ、料理はめちゃめちゃうまそうだし、これぞヌーベルキュイジーヌって感じの
オサレ料理がガンガン出てきますが、「貧乏くさいレストラン」のはずの主人公の店で
使われているカトラリーもグラスも、めちゃめちゃ金のかかったオサレデザインのものなので興ざめです。
気になって仕方ない。安いレストランには安っぽい、ぶ厚いグラスやゴテゴテしたダサいカトラリーばかりだよ。
個人的に「ブノワ」のデセルはごってりと甘くて苦手だったのでコメントなし。
かつてフランス宮廷料理から一般家庭へとフレンチが伝わり、お金持ちのおうちでコース料理が出された奔りは
「ウチはこんなにも豪勢に料理が出せるほどお金持ちです」とアピールするため、
今のような、「アミューズ→オードブル→スープ→ポワソン→ソルベ→ヴィアンド→デセル」という料理の他に
ありとあらゆる料理が付属されていました。今でいうと、会社経営者がたとえかつかつの経営状態でも
儲かっていると見せかけ、顧客を安心させるために高い時計を身に付けるようなものでしょうか。
無駄に多かった料理は最後まで食べられることなく、捨てられるものも多かったと思います。
コンパクトに削られ、こてこてのソース料理から脱出し、新しくおしゃれにまとまったフレンチは、
今では想像される古典的フレンチとはまるで違ったものになっています。
機会があればぜひ、食べてみてください。和食を取り入れた現代風料理のいい意味の軽さに驚かれるかと思います。
てめえみたいにランチで6万もかけてたようなくるくるぱーとは違うんだよ、
夕飯に3万4万かけられっか!という方々のための、ごく普通のフレンチレストランも出しとく。

丸の内の「RESONANCE」(だっけ?)のランチのテリーヌ。


ランチでたぶん2000円はいかなかったと思う。
旨かったけど店員も愛想があんまよくなかったな。
まだ大手町で仕事してたころ行ってた。
ここでオマケの、ためになる立食パーティーのマナー。
端に並べられたイスは荷物を置くため、もしくは体調が悪い方やお年寄りのためのもの。
普通は座らないのがマナー。日本人女性に多いのが、この端のイスをあろうことか
テーブルにくっつけて座って食べようとするアホ。
そもそもこの立食のテーブル、占領して食べるためのものではなく、
片手に皿、片手にフォークを持って食べるので、ドリンクを置くためだけに利用するテーブルなんですね。
なので、日本人はなぜかテーブルに皿を並べたてて独占して使用していますが(特に年配者や女性)
立食はすべての人がそんなふうに利用できるほどテーブルは置いていないため、他者のいい迷惑です。
では立食でのその皿の使い方。
盛り盛りに盛り付けてテーブルに並べたてて独占しているアホな日本人女性のその使い方、
そんなことしてれば当然、テーブルに置かざるを得なくなりますよね。
「じゃあどうすりゃいいのよ!」って憤慨してるそこのブサイクなアナタ、
立食では、ひとつのお皿に、そのとき自分が食べるぶんだけ盛り、
食べ終わったらまたその都度とりにいくのがマナーです。
「ちょっと奥さん!あなたのぶんの肉もとってきたわよ!」
みたいなオバサンの使い方だと、そりゃテーブルも独占せざるを得なくなるでしょうが、
そもそもそんな食べ方自体がマナー違反なのでした。こういう光景って日本人独特だよね。

これも丸の内の「VIRON」
3000円かそこらのランチコースだったと思う。
まだブール(バターのこと)が無塩のエシレを使ってたりしてた。(バターに名前が刺さっててわろた)
今は販売制限になったんだっけ?なんか当時そんなニュースを読んだような。


結婚するまでは、アホかっていうくらい食にお金かけて、日に1万2万、
本格的に食べに行くなら5〜6万は裕に使ったりと無茶苦茶な食生活でしたが、
仕事仕事でほとんど休みもなく、それが唯一のストレス解消の手段でもありました。
今考えると笑えますが、結婚前に好き勝手暮らせたのは、よかったのかもなーと思ってます。