
カリカリのおぢさん(43)と銀座の松屋前で待ち合わせ。
今日は銀座シャネルの10階にある、シャネルと三ツ星シェフ、アラン・デュカスのコラボレストラン「ベージュ東京」でランチ。シャネルが嫌いでレストランとしての前評判もよろしくないこのお店、私は青山の「ピエール・ガニェール」のほうがいい、と主張していたのですが、
「いやー、シャネルだからねえ?」(意味不明)
わが道をゆくおぢさんの主張の前に、私の主張など通るはずもなく。(奢り主だし)
シャネルの裏口のようなひっそりとした入り口を入ると、予約係が。
予約名を告げ、エレベーターに乗る。
エレベーター内のボタンまでもがシャネルマークで可愛い。


まずは泡。水はガス抜きで、PANNA。チーズのシュー。
この泡なんだったっけ。
「ローランペリエのブリュットだよ。因みにローランペリエのプレステージはグランクリュ。
大変クオリティーの高い良いシャンパンハウスで、シャンパーニュ生産量第3位を誇ってるよ。」
とおぢさんのご返答。
アミューズは「カリフラワーのポタージュ、カルダモンの香り。器は京都の何とかの京都木をくりぬいた漆塗りの器。だそうです。食べて数時間しか経っていないのにきれいさっぱり忘れる自分が、料理の何を語るつもりでいたんでしょうか、とかいう突っ込みはやめてください。

これがいちばん楽しみでした。
ほかの店舗ではなかなか見られない、オリジナルブール。
奥は北海道の無塩バター。手前はワカメや海草らを使った、シャネルオリジナルバター。これ、時々内容が変わっているようで、ほかのサイトさんでは「白黒コショウやアニスがブレンドされたスパイシーバター」になってました。おぢさん曰く「海草くせえ」。でもとても美味しいです。北海道バターのほうを試すのを忘れてました。
パンはプティバケット(形がかわいい)、バターのパン、あとなんだっけ?3種類。食べ終わるはしからこまめにコミの方がパンを持ってやってくる。あたたかで風味の豊かなパンはとても美味しかったです。(冷たくてかたいパンを出すアピシウスはこの点においては完敗だと思う、ランチでもあたたかいパンをくださいよう、アピシウスさん)
「うわ、くっさ。君、ニンニクくっさ!!!」
会った瞬間、おぢさんがのけぞった。
昨夜、友人らと食った大量の餃子のニンニクが恐ろしいほど効果を発揮。
「一晩たてばにおいなんて消えるよ」
などと悠長なメールを送ってきたおぢさんだが、残念ながらおろし金ですりおろした生ニンニクの匂いはそんなヤワじゃなかった。シャネルのレストランに漂うニンニク臭・・・
「シャネルのレストランに行くのにさ、
普通はね、最低限の身だしなみは整えるわけだよね?
そんな場所にさ、
予約してんのにあっさり遅刻だわ、
理由が虫歯が痛んで寝れなかっただとかだわ、
あげくに半端ないレベルのニンニク臭だわでさ、
君のようなお客も初めてだろうし、
おれも君のような女は初めてだよ。いやー、すごいね、感心する。余裕があってすばらしいね?」
さすがは一流のサービスのひと、言うことはうまく綺麗にまとまっているが、
どっからどの角度で見てもものすごい嫌味でしかない。
ニンニクくさくてほんとうに申し訳ありませんでした。
「ソース・オ・ピストーのサラダ」5500円ほど。
8000円のほうのランチコースにプラス、アラカルトを頼むことにする。
このサラダはカルトメニュー。
残念ながらほかのお客さんのようにメニューを撮影する度胸はなかった。
メニューの名前がわからないので、使用しているソースと材料で説明します。
間違ってたらすみません。なんとなくでわかってやってください。
ピストーソースはバジル、ニンニク、オリーブオイルなどを使ったソースのことで、サラダには夏野菜を使用、白い実のようなものがサラダに入ってましたが、それはアーモンドなんだそう。生のアーモンドの白いのをはじめて食べました。サラダ以外には使えないって味。
「ウニとホタテのシトロン風味 ウニの香りのカプチーノ添え」これはランチのコースのオードブルメニュー。
ウニもホタテも、とても強めの海の香りが・・何故?
新鮮でおいしかったけど、私の好きなウニの味ではなかったです。
「イワシ(?)のバプール」これもランチコースのポワソン。
イワシだっけ?これは本当に印象に残らなかった。味付けが薄すぎる。
コミの方が「味が薄ければ、塩を、」と塩を渡してくださる。
お店の方も思ってるなら・・・ああ、でもこれは日本人に受けの悪い味ってだけかもしれないね、味付け薄すぎの小魚。イワシ(?)の下のラタトゥーユはおぢさんが大絶賛。こんなラタトゥーユは初めてだねえ、とえらく感心しきりだった。
このメニューは本当に記憶に残っていない。
なのでイワシだったかどうかも・・
イワシじゃなかった気がするんだが。でも見た目、イワシだよね??
「ポシェ・ド・オマール ソース・ド・コライユ
プティポワ添え aux KAMAKURA」これはおぢさんの頼んだアラカルト。9500円くらい。
鎌倉で獲れたオマール海老、コライユは味噌。
「君はおれをカリカリポワレ好きと思い込んでて、だからアピシウスに行ったとき、本当はオマールがあればオマールを頼みたかったんだけど、君が期待の目でおれの方向を凝視するもんだから、なんとなく有無を言わさずって感じでポワレを頼んだんだ。結局オマールがなかったからどっちでも同じなんだけど、先に言っておくよ。おれはね?カリカリおさかなポワレも好きだけど、オマールだって大好きなんだ。あとね、君はよく「ポワレ」と「グリエ」をたまに間違えて言ってるけど、おれが好きなのはポワレだからね?間違えないでね?」
すいませんでした。
オマールの味は・・・・・ものすごく癖のある独特な味がしたんですが、これは味噌のせい?なんだかとても濃厚。記憶に残る味だけど、決して大好きな味じゃなかったと思う。
「仔羊の背肉のロティ エスペレットとサリエットの香り」
Dos d’agneau frotté de piment d’Espelette et de sarriette.今日は鴨を切らしているとのことで、急遽、アラカルトより仔羊。カルトで頼むと9500円ほど。「仔羊の背肉のア・ラ・ブロッシュ」というのが、ここと同じくデュカスのプロデュースしたフレンチレストラン「ブノワ」にもあったはず。「焼き具合ちょー最高」とぼそっとつぶやくおぢさん。
皿をものすごい凝視。
これは、これはほんとうにおいしかった。
ソースはちょっと覚えていないがこれはあまり記憶に残らない。だが、この、肉のこのベストな火の通り方、クセもまったく残らない、生まれてはじめて美味い!!!と思った肉が仔羊、それもすごい。
いやーーーーーーーーーーー、
そんなに美味い肉ばっかり食べてきたわけじゃないですが、私の知りうる限りはいちばん美味しいと思えるヴィアンドでした。おぢさんも手放しで感心。ていうか私より私のぶんを食ってました。遠慮のかけらもなく食ってました。シャネルなのに、私の席のまわりだけシャネルじゃない感じ。最低限のテーブルマナーを守りつつ、しかしむちゃくちゃ下品。しかもニンニク臭。

デセールです。
デセールのシルバーに目を留めるおぢさん。
すかさずコミの方の説明。イタリア製なんだと。
「だよね、どう見てもこれ、イタリア製だよね。」
私にはとんと違いがわかりませんが。

プティフルは抹茶のマカロン。
コーヒー、紅茶やらはコースでも別注文。
大体が700〜800円でした。

おぢさんがアラカルトで注文したデセールは、桃のナントカ。
「カレ・シャネル」私が注文したのは、世界でひとつの、シャネルの名を冠したお菓子。
ちょー濃い目のプラリネ。濃厚すぎて後半つらい。
ヘーゼルナッツのアイスがついていて、一緒に食べるとさっぱりするのだが、アイスはおぢさんにぶん取られた。相当旨かったらしく、おぢさんは何度も旨い旨いを連呼。プラリネの上に乗っているのもヘーゼルナッツで、合わせてアイスが作られているみたい。
デセールは単品2300円ほど。

ハーブティーにはハチミツが添えられます。
お砂糖も・・・他店より綺麗に詰められていてかわいい。
板の上に乗った金箔のせチョコレートは、別のブログでは、シャネルマークのついたボタンの形をしたもので、これもとても楽しみだったのですが、メニュー変えをしたのか、ふつうの四角なやわらかチョコに金箔がのっているものになっていました。
板の裏側のなまえを見ようと、そっと持ち上げるおぢさん。
ゴトン、と音を立てて落ちるチョコ。
「・・・・・・・。」べしっとおぢさんのデコを叩くわたくし。
「さっきプラリネ食べたばっかりだからまたチョコ!?って感じ」
とぼそりとつぶやいた私の横で、「あ、これ旨い!」と言いながらすかさずチョコをふたつとも食べてしまうおぢさん。誰も私のぶんまであげるなんて言ってない。言ってないのに食いやがった。
「・・・わたしのぶんは?」
「・・・・・・。だってきみ、またチョコ?って言ってたから。」
「でも、旨い!とか言ってたから食べたかったのに」
「・・・いや、まずかったよ?」(即答)「さっき美味しいって言ってたばっかじゃん!」
「いや、まずかった。すごくまずかったよ?」(大嘘つき)
おい。
「さっきもわたしのヘーゼルナッツのアイス食べちゃうし。」
「あれもまずかった。」
「・・・・・・。」
さきほどからの、このふたりの好き放題ざんまい、おぢさんとわたしの、我が道をゆく食事に(いや、普通の店だとフツーにアリな範囲ですよ、シャネルだからちょっとアレってなだけで。ちなみにこのおぢさんは私と違って人並み以上にはお上品です)階段上にメートルっぽい人や(おぢさん曰く)世界第3位のソムリエの人やらがそっと集まってこちらを凝視。明らかに挙動不審。
まあ別に、撮影もコミの方のご協力のうえですし、別にギャーギャー騒ぐわけでも立ち歩くわけでもなく、ただひたすらに
異常にニンニクくっせえのと、横にいるわたしの肉をそっと気がつかないうちにさらうのと、チョコをボトンとテーブルに落としたくらいですかね、いや、かなりの確立で明らかに同業者だとバレバレだったとは思うんですが、冷たい対応をされるわけでもなく、いたって穏やかにサービスしていただきました。
チョコを落としたくらいで冷や冷やされてもたまったもんじゃないですが、ニンニク臭かったのだけは心から謝りたいと思います。ふふ。
どうでもいい話ですが、この日、おぢさんがソムリエのコンテストみたいなんで準決勝まで行ったひとだというのを知りました。だからあんなに普段から偉そうだったんですね。「準決勝なんて本当にたいしたことないし、おれなんか無名の、ただチンチンが大根並みにでかいだけの、」とさらっと無茶を言うおぢさんと、炎天下の銀座を歩きました。東京は久々のからりと晴れ。ソムリエ資格試験に向けての勉強を見ていただき、その後、

ご機嫌でバッティングセンターにて尻を振るおぢさん。
噂どおりお値段の張るお店です。味は前評価で創造していたよりはずいぶん良かったと思います。最高に旨い!は子羊のロティくらいでしたが。サービス料はランチで10%。ディナーはわかりません。水はガス抜きで頼むと、PANNAが出てきました。PANNAは840円。標準的なお値段設定だと思いますが、カルトはわりと他店より割高め。メインだと7800円〜9800円ほど。オードブルは3900円〜5500円ほど。グラスシャンパンは2300円。そんな感じです。
ベージュ東京
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10階
03-5159-5500
ランチ:11:30〜14:30 ディナー18:00〜21:30