
露天といってもね、なんてナメてかかってましたが、風呂の目の前は安房勝山の海でした。いままでこれほど眺めのいい露天風呂にはお目にかかったことはないですわ。部屋に通されて窓を開けると海が広がっていたので「海が見えるね!」と感動していたら、「公衆電話も見えるね!」と連れに水を差された。目の前には公衆電話がでんと置かれていた。そんな水差し魔の友人も、露天に関してはずいぶん満足げだった。そんなわけで宿に到着して早々、真っ先に露天風呂へ。

宿は、予てよりずいぶん口コミでの評判がよかった「一の宿倶楽部」の「お宿ひるた」にしました。たった5部屋しかないのと12歳以下お断りなのは、お客さんにゆっくりくつろいでもらうためと、一組のお客さんに丁寧に接せられるためだとかなんとか。千葉県内の宿のなかでは料理の美味しいことでも有名で、大人の隠れ家的宿として売り込まれており、なかなか予約が取れない宿なんだそう。オーシャンビューの部屋が2部屋。それ以外は3部屋。今回は予約の都合でオーシャンビューはダメだったけど、こぢんまりとしてかわいらしい部屋を取ることができました。

タタミがかわいい。部屋すべてがかわいいが、いちばんかわいかったのはタタミだった気がする。夕飯は野球を観戦しながらということで18時半。今回の特筆するべき点は、夕飯時対応の店員さんだろう。決して悪いひとではない。むしろ、私の質問のほうがいぢわるだったのかもしれない。でも、今回の旅行でいちばんの笑いどころとなったのは確かだ。

前菜と小鉢。
巻貝エスカルゴ風、春風寄せ、雲丹のスフォルマート、
麩田楽、桜寿司。桜の葉を使ったアナゴ寿司の桜寿司が一等美味しい。
小鉢は、蛍烏賊の鉄砲和え、京風木の芽味噌和え。

房総地鶏の源平流しという茶碗蒸しのようなものが出てきたあとは、地魚の桶盛り。前日の「ろくや」での船盛りのでかさを堪能した後だと地味に見えてしまうかも。でもまあ、桶盛りだし?なんて言いながら、メインは昨日と同じでホウボウ。このへん、ホウボウがすんごいよく取れるんかなあ?

カツオやヒラメに混じって、写真中央は「ボラ」。
って、ボラって鯛に似た白身魚じゃなかったっけ?
これ、ほんとにボラ?ちなみに味はぼんやりした感じの・・

生きたアワビをレモンかけて蒸し焼き。火をつけると、それまでおとなしかったアワビちゃんがグルングルン回転しはじめる。すごい勢いでぐおんぐおんと暴れる。いままでアワビは刺身でしか食べたことがなく、硬くてたいして美味しくないものだという認識だったのだけど、このアワビの踊り焼きステーキのやわらかさと美味さときたら・・・味付けはバターとレモンだけなのに、もう、異常に美味い。伊勢でアワビの刺身を食べて、二度と食うかと言い放った母に食べさせてやりたい。

はまぐりのしんじょ流しが出てきたあたりで日本酒を注文。友人は明らかにこういう宿ではハズレであろうと注文前にわかるワイン。案の定残していた。タチが悪いことこのうえない。
新たけのことフグのあられ揚げがでてきた。添え物に温泉たまご。それをといてフグやたけのこの揚げ物をつけて食すのだそう。・・・明らかにフグやたけのこの繊細な味がかき消える。たまごの味って強いし、それ明らかに失敗じゃないだろうか。友人は黙って温泉たまごをそのまま残す。「だってそんなの、フグにたまごなんて味消えるに決まってるし、それにこのあと雑炊が出るからそれにかけるつもりだし」との返事。すっごい悔しい。絶対雑炊にかけるほうが美味いに決まってる。生意気な。雑炊に落とした温泉たまごのおわんを見せながら「おれのほうの写真撮る?たまごナシより美味そうだし」と挑戦的な態度を見せ付けてきた。現に、美味そうだった。悔しくなんかないんだからね。


鯛のおかしらのあとは和食には珍しい洋皿は新緑サラダと鴨肉。鴨肉が出てきたとき、この肉はなんの肉ですか?と給仕のおにいちゃんに聞くと、一瞬躊躇し、「ウシです!」と答えられた。友人も私もサービスの仕事である。どこからどう見てもこれは鴨肉だし、食べてみてもやっぱり鴨肉だった。なにがどうウシなのだろうか。それに、牛肉、でいいじゃないか。なんでウシなんだ。
ちなみにさきほどのフグの産地を聞くと「地獲れです!」という返事。フグって千葉の沖合いで獲れるの?

そんなことをほざいていたら、給仕のおにいちゃんが「伊勢海老を出すのを忘れていました!」と言いながら運んできた。ここまでくるとさきほどのボラも、本当にボラなのかどうか怪しい。雑炊といちごのジュレで〆たあと、友人がコーヒーを注文した。おにいちゃんはアイスコーヒーのコースターを、グラス置きに使わず、しばらく考えてからミルクとシュガー置きに使った。

その証拠写真がこれである。
アイスコーヒーのコースターをミルク置き。しかもストローまでコースターの上に置かれている。おにいちゃんは必死に頑張っている。フグが地獲れでも、鴨がウシでも、伊勢海老を忘れても、なんの反応も示さなかった友人も、さすがにおにいちゃんが部屋から消えたあと、大爆笑。一生懸命頑張っていたし、なにか必死で考えながら動いていたわけだし、少しも嫌な気持ちにはならなかったが、笑いどころが多すぎて、しばらくネタとして使わせてもらっている。
ちなみに翌朝は、お茶漬け用のダシを「なんのダシ?」と聞くと、「ごはんにかけると美味しいダシ」と答えられた。なんの魚かが知りたかったのだが、この宿、予想外の答えが返ってくることが多かった。この朝の給仕さんは別の女性だったが。この宿、嫌いじゃない。
お宿 ひるた
http://www.oyadohiruta.com/00.info.html
posted by さくらこ at 19:52| 東京 ☀|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
旅行記
|

|